アルザスとアルザスワイン

フランスワイン

アルザスはどこを切り取っても童話の世界。
ひとつひとつの町や村は小さいけれど見るべきものがたくさんあって一週間あっても時間が足りない。アルザスはその美しさで昔から多くの観光客を魅了してきました。今日はこのアルザスの魅力とこの地で造られてきたワイン、そしてこの地が舞台となった小説「最後の授業」をご紹介します!

アルザスの代表的な町と村

アルザスの風景 画像:Adobe Stock, Licensed

城を中心に丸く広がる城下町やそれを取り囲む葡萄畑。コロンバージュの家々。どの窓にも飾られている色とりどりの花。春夏は花、秋は紅葉、冬はイルミネーションが街を彩り、どこを切り取っても美しい所です。

アルザスワイン街道

コロンバージュの家々が立ち並ぶメルヘンたっぷりの中心都市ストラスブール、ジブリ映画「ハウルの動く城」のモデルになった街コルマール、アルザスワイン発祥の地であり、ローマ教皇レオン3世ゆかりの礼拝堂や城があるエギスハイム、可憐な風情とは裏腹にかつては魔女狩りの舞台になった場所であったベルグハイム等々、魅力的な町や村がワイン街道沿いに並びます。

フランスとドイツの狭間で

アルザス地方は観光地であるとともに、ロレーヌ地方と並んで昔から鉄鋼業がさかんで工業地帯として栄えていました。そして、古くからのワインの名産地でもあります。ワイン造りは古代から行われていましたが、カロリング朝時代にシャルル・マーニュがカトリックキリスト教を積極的に広めたため、各地の修道院でさかんにワインが造られたのです。

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9世紀フランク王国が分裂し、東フランク王国(後のドイツ)に組み込まれますが、1648年フランスが三十年戦争に勝利することによりフランス領となります。 しかし、ナポレオン三世の統治下に入ると、プロイセンとの戦に負け、またしてもドイツ領となります。
さて、どうしてアルザスがドイツ領になったり、フランス領になったりしたのでしょうか?それは鉄鉱石の産地であったことに理由があります。鉄鉱石は軍需品大砲や戦車を造る資源になります。

devsugar
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アルザスとロレーヌは鉄鉱石の産地でもあったから軍需品を造るのにも適してたんだ。
だからフランスとドイツでなお一層取り合いになったとも言えるね。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

その後、1919年、第一次世界大戦でフランスが勝利するので戻ってくるのですが、1940年、ナチス・ドイツにより、一方的にドイツに併合されてしまいます。そして1945年、第二次世界大戦が終結すると正式にフランスに返還されました。

アルザスワイン

アルザスワインの道のり

このように歴史に翻弄されてきたアルザスでは、ワインはどんな運命を辿ってきたのでしょうか?
最初はフランスであったアルザスでは、「地域に根差した個性的なワイン」という価値観にもとづいたワインが造られていました。ところがドイツ領となった時代、アルザスはワインの供給地となり、「個性的なワイン」から「庶民的なワイン」への転換を余儀なく迫られました。庶民が日常生活で気軽に飲むワインというのは、安い値段で口当たりがよくで品切れにならないことが必須となるからです。

店頭に並ぶアルザスワイン
Adobe, Lisenced

この量産時代を耐えつつも、ドイツワインならではの良さとフランスワインのこだわりと伝統を融合させた、多様性に富む華やかで上品なワインとなりました。

私の押しアルザスワイン3本

ここで私がこれまでに飲んで「美味しかった!」「おしゃれ!」「お手頃!」と感じたアルザスワイン3本をご紹介します!

Cl’ement Klur Gentil de Katz クレマン・クリュール ジャンティ・ド・カッツ

ちょっとふてぶてしい表情の黒猫。こういう猫いますよね?しかしこのワインの名前はこのふてぶてしさに反してGentil de Katz 優しい猫。クレマン・クリュールというのはこのワインの生産者の名前です。飲んでみると、その名前のとおり、「優しい口当たり」フルーティですっきりと甘く、リピートしたくなる親しみやすさがありました!
購入先:Amazon 価格:3,460円

Sylvaner Grand A 2021 Roland Schmitt シルヴァネール グラン・ア 2021 ローラン・シュミット

家の近くにあるちょっとお洒落な赤い屋根のワイン専門店。ずっと気になっていたのだけど専門店は私には敷居が高くていつも二の足を踏んでました。 ある時、店頭でこのワインラベルの白い花が目に入って思い切って入ってみたところ、店主が思いの他庶民的で、気になったワインの値段も庶民的だったのでちょっとびっくり!店主いわく、このラベルの花びらの数は代表的なアルザスワインの葡萄品種の数であるとか。 さて、この白い花ワイン、実際飲んでみると爽やかな辛口でそれでいてフルーティ。 単体で飲むとちょっと辛いので初心者には向いてないかも….。
購入先:ワイン専門店 価格:3,630円

Alsace Riesling Cuvee Reserve Turckheim アルザス リースリング キュヴェ・レゼルヴ テュルクハイム

ラベルの装丁がシンプルなのですが、甘くてドライで香りが繊細で ちょっと高級なワインを飲んでいるような気分にさせてくれました。 それなのに値段は2千円以下と良心的でどこのスーパーでも見かける親近感があります。 ドイツの代表的な葡萄品種リースリングが使われているので甘口なんだけどミネラル豊富な土壌で育った葡萄を使っているワインなんだなぁと思わせるドライ感があってとても飲みやすい白ワインでした。
購入先:近所のスーパー 価格:1,848円

アルザスが舞台の小説 – 最後の授業 –

1870年~71年にフランスとプロシアの間で起こった普仏戦争。フランスがこの戦争に負けたため、フランス領であったアルザス・ロレーヌ地方はプロシア領となります。この時期に書かれたとある小説を読んでみました。

出典:Amazon

アルザスの小さな村の小学校では、アメル先生が最後のフランス語の授業を行います。主人公はフランス語が苦手な少年のフランツです。彼は学校が嫌で嫌でたまらず、この日も学校をさぼって野原に駆け出したいと思ってたくらいでした。それがアメル先生の「最後の授業」という言葉を聞いてこれ以上ないくらいの集中力でフランス語を習うのでした。 アメル先生はまた、こう言います。

ある民族が奴隸となっても、その国語を保っている限り、牢獄の鍵を握っているようなものなのです。

最後の授業 ドーデ著作 ポプラ社文庫

著者のドーデがアメル先生を通して残したこの言葉はすべての人の心に響く永遠の名言です。 またアメル先生は「フランス語は世界で一番美しい言葉だ」と語っていますが、これは世界中のどの言葉に共通することで、人はみな自分が生まれ育った国の言葉を「美しい」と感じるものだと私は思うのです。
小学生向けに書かれた数分で読める短編ですが、この先も時代を越えてこの先も受け継がれていく名作です!

devmilk
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国境沿いという位置にあって、鉄鉱資源に恵まれていたということが悲劇を生んでしまったんだね。痩せた岩ばかりの荒地だったらこうはならなかったのでは?

sugar
sugar

そのとおり。自然と資源に恵まれた国境沿いの地方。今はそれがアルザスの強みになってるよね。しかもどの街も村も美しい!